若者のボランティア活動について思う私は、学生のボランティア活動は、「人との出会いと関わり」が一番重要だと考えている。 私が最初に高校生ボランティアと関わり始めた頃(15年以上も前になる)は、 まだまだ若者達のボランティア活動は人気はなかった。 だから、学校を通してボランティア活動への参加を呼びかけても、 「ボランティア? それ、何?」というような感じで、 好奇心の強い高校生何人かが、わけもわからず紛れ込んできた。 私たち大人は、「この子達を逃してはならじ」と、 ちょっとしたことにでも感謝の言葉を惜しげもなく浴びせ続けた。 今の子ども達は、心からの「ありがとう」を言われる体験は少ない。 ましてや、その時にやってきた高校生達は、 自ら「俺達、どうせバカだから」なんて言うような子で、 大人たちから多少批判的に見られがちな子達だった。 そんな高校生達が、色々な職種や立場の大人や障害を持つ人たち、 あるいは老人ホームなどのお年寄り、知的障害者施設人たちと出会う中で、 劇的に変化してゆくのを目の当たりにした。 子どもが「社会化」してゆくためには、 多様な人達との出会いと、対等な関係でのコミュニケーションがいかに重要なのか、 私はあのころの高校生達に教えてもらった。 そんな出会いがやがて彼らを「ボランティア活動」にのめり込ませ、 進路の目標が見えていなかった子達は、 ドドーッと福祉関係の専門学校に進学した。 私は、福祉分野で働く若者達を増やしたいと思ったことは一度もないので、 みんなが「我も我も」と福祉専門学校を目指す姿を、 多少戸惑いながら見ていた。 やがて介護保険制度が始まり、福祉関係の職場も拡大し、 彼等の多くは今も福祉の世界で働いている。 彼らが作った「ボランティア同好会」がやがて「ボランティア部」となり、 学校の先生達もバックアップをするようになると、 今度はなぜか、いわゆる「良い子」がボランティア活動をするようになってきた。 現在は、最初から「将来は福祉の仕事がしたいから」という子も多いようだ。 それはそれでいいのだけれど、 私は、最初の頃のハラハラするような子ども達が 目を輝かせて活動に取り組んでいた姿が、とてもなつかしい。 そして、今はあのようなタイプの高校生は、 どこでどのような大人たちと繋がっているのだろうと思う。 そして、本当はあのように目標が定まらず、 多少大人に対して斜めに構えているような子達に、 ボランティア活動を通して人とのつながりの面白さや、 それぞれ違う価値観をもつ人たちがゴチャゴチャしながら生きている社会に触れ、 自分なりの考えや願いを探って欲しいと思うのだ。 でも、今の状態は「良い子がやってるボランティア」という感じで、 危なっかしい子は入って来れないだろうなあ。 2005年04月14日 |